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Hiroki Sato

Hiroki Sato

「佐藤さん、『自分思い』っていう映画、知ってる?」  


自分思い。
聞いた事がないな。

ネットで検索しても、そのタイトルはヒットしなかった。



早朝、まだ外が薄暗い頃に結美からメールが来た。

「佐藤さん」

いつもなら、俺から「おはよう」とメールするまでメールをしてこない結美。

何かあったのかと思い、俺はすぐに返信をした。

「結美、どうした?」

しばらくして、

「ごめんね。ありがとう。」

「何かあったのか?」

その後、メールは途絶えた。



いつもの時間にいつものようにメールをすると、いつものように「おはよう」と返ってきた。

映画の話が出たのはその後だった。


「お芝居をした訳じゃないんだけど、その映画通りに、私生きたの。」


一度亡くなった自分が生き返ってしまい、周りの人みんなが戸惑う中、好きな人が望むまま、もう一度命を消すという話。


「相手の人が罪を背負わないように、キスで毒を飲まされた後、うたた寝するふりをしてみんなに気付かれないようにしたの。すごく苦しかったけど、その人の心の方がもっと苦しんでると思って、最期まで我慢したの。」


そんな夢を見たから、俺の名前を。


「もう、落ち着いたか?」

「うん。でも、そんな映画ないんだね。不思議不思議。」



自分思い。

自分の思いなのか、自分を思う人なのか。

いや、きっと両方の事なのだろう。



「体調はどう?」

病気の事が不安で、そんな夢を見たのかもしれない。

「大丈夫だよ。ありがと。」

そう返信が来ても、顔を見るまでは安心出来ない。


「どうした?」と聞いてくれるだけで安心したという結美とは裏腹に、祝日という壁の高さをうらやむ過保護な俺だった。



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